産業としての農の確立

産業としての農の確立について

自分で作って自分で売る農業

農家の減少や高齢化、耕作放棄地の拡大、食料自給率の低迷・・・、日本の農業を取り巻く環境は厳しいものです。そもそもここまで疲弊した原因は何なのか。結論から言うと、農業分野の流通メカニズムが生産者→農協(集荷・選果)→市場(価格形成)→仲卸(営業・配送)→小売り(販売)→消費者となっており、生産から消費までの距離が遠くなっていることです。この「分業」の構造が、今日の農業における相当数の問題を引き起こしています。

分業構造は市場全体が伸びているとき、規模の効率性を追及する際には有効な手法です。しかし、諸外国からも物はどんどん入ってくる、需要はどんどん多様化する一方で、そもそもの需要は頭打ちという現代には、かつての分業の体制では戦略不適合です。このため、今後の農業経営のテーマは分業構造から抜け出し、マーケットのニーズを直に感じることができる体制を構築し、生産から販売までのプロセスをより早くまわしていくことです。

そのために必要なこととして、まず適切な生産体制の選択があげられます。小には小の、中には中の、大には大の農業経営があり、それぞれがしっかりと『安定して儲かる仕組み』を築くことが重要です。一口に「農業をやる」と言っても様々です。決して農業の工業化、法人化、大規模化ということだけが農業の方向性ではありません。アプローチしていくマーケットのニーズや規模、流通特性に対して生産体制が適切でないと経営はうまく成り立たないので、まずは自分がどういった形の生産体制を選択するのかが第一歩です。

次いで、一気通貫の流通構造に身をおくことが大事です。小規模農業であっても地産池消や生産直販を基本として、100世帯程度の顧客や、こだわり野菜を扱う八百屋、飲食店など数件の納め先を持ち、直売所の活用やインターネット販売などを通じて販売すれば、経営として充分に持続可能です。

他産業でいう中小企業のような存在である農業法人や生産農家グループであれば、量販店や食品産業との契約による生産・出荷をメインとし、誰が食べるのか、何のために使われる農産物なのかということを明確にし、そして生産から販売までの連携システムを持つことが必要です。そこで求められる農産物は、当然ストーリーのある農産物。つまり有機JAS認証や特別栽培農産物、機能性や用途に特色を持った商品、地場野菜です。コストをさげるための生産性の向上、情報化なども欠かせません。また、平準化された供給(周年出荷)を行なう体制作りも必要です。

大資本や食品産業による大規模・システム化された農業にも近年注目が集まってきています。大規模生産を行なう以上、マーケットボリュームの大きい低価格消費の層にコストを抑えて安く大量に供給できる仕組みの構築が基本です。この分野は外国産農産物との競争にさらされるであろうことや、日本の国土・気候条件を考えた場合、かなり限定された地域でしか行えない農業経営モデルと言えるが、異業種のノウハウの注入など、産業化された農業における位置づけは決して小さくないだろうと考えられる。

いずれにしろ、自分で作って自分で売るという生産から販売までの一気通貫の仕組みの中に今後は身をおいて農業をやるということが農業の産業化において大前提になります。

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